日本語自由帳

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グーチョキパーと巨人

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Mahler - Symphony No.1 'Der Titan" Bayerischen RSO, Rafael Kubelik, DGG】

はじまり

初めてマーラー交響曲第1番「巨人」を聴いたのはニコ動からだった気がします. マーラーの交響曲の中でも短いから,比較的に聴きやすい交響曲だよ.あとダブルティンパニーカッコいいよ!と勧められて聴いてたと思います. 華やかな2楽章が終わり,静かにコントラバスが主題を奏でながら,3楽章に入ります. まぁ,そこはさすがニコ動のコメントというところか,画面下に歌詞が出てきました.

ぐーちょきぱーで
ぐーちょきぱーで
なにつくろーなにつくろー
みぎてがぱーで
ひだりてがぐーで
めだまやきーめだまやきー

そう,グーチョキパーのうたですね. みなさんは右手と左手を組み合わせて何を作っていましたか? (私も上と同じ右がグー,左がパーですが,できたものは「ヘリコプター」でした.)

ニコ動のクラシックを見てると変な歌詞がつくことがよくありました. チャイコフスキーの交響曲第4番の第2主題で「私も共産党員 あなたも共産党員 みーんな共産党員」とか,ムソルグスキー展覧会の絵「バーバ・ヤガー」冒頭で「天丼!天丼!!」とか,あとはマーラーの巨人の4楽章のトランペットに「日清めんしょくにーん」ってつけるのもなかなか秀逸でした. これらは適当につけた歌詞なので,そこまで印象に残らないのですが,このマーラーの巨人の3楽章はやたらグーチョキパーの歌に酷似したメロディだったので,クラシック謎歌詞の中でも特に印象に残ってしまいました. そのおかげで,3楽章をメロディを聴く度に「グーチョキパーで…」って口ずさんでいたように思えます.

ぞうさんとショーソン交響曲

この2曲の関連性を調べようと思う前に,同じような疑問を持つ曲が実はもう1つありました. それはショーソン交響曲変ロ長調の3楽章とぞうさんのうたでした. ショーソンの交響曲の終楽章である3楽章の第2主題がやたら「ぞーさん ぞーさん おーはながいのねー」って聴こえる. さすがにここまで来るとぞうさんのうたを作った作曲者はこのショーソンの交響曲を意識しただろうと思って調べてみました. すると作曲者があの團伊玖磨さんだったことに驚きました.

團 伊玖磨(だん いくま、1924年(大正13年)4月7日 - 2001年(平成13年)5月17日)は、日本の作曲家であり、エッセイストである。作曲家としてはオペラ、交響曲、歌曲などのいわゆるクラシック音楽のほか、童謡、映画音楽、放送音楽と、幅広いジャンルを手がけた。(Wikipedia:團伊玖磨

(なんとなく名前を聞いたことがあって,とりあえず現代の日本クラシック作曲家の1人であることはなんとなく知ってた.)

それでショーソンの交響曲が1890年に完成し,ぞうさんが1953年制定って書いてあることから,團さんはもしかしたらこのフレーズをもとにぞうさんのうたを作ったのかなと考えました. ただ根拠がないのでなんとも言えません. いわゆるニコ動にあげると「これ,ショーソンの交響曲のパクリじゃね?」とコメントで言われ,比較動画を作り,「完全に一致」とか言われて團さんが炎上するんでしょうかね…

グーチョキパーと巨人

さて話は戻り. このついでに疑問に思ってたグーチョキパーと巨人についても調べてみようと思いました. そこでまずはグーチョキパーのうたでGoogleさんに訪ねてみたところ,「作曲:フランス民謡」って返ってきました. フランス民謡?蛍の光みたいな感じかと思い,更に調べてみると「フレール・ジャック」というフランス民謡にたどり着きました.

フレール・ジャック(フランス語:Frère Jacques)はフランス語圏および世界各地でよく知られたフランスの民謡。フランス語圏外ではその地域の言語による歌詞で歌われているため、世界各地に様々な歌詞が存在している(関連項目「『フレール・ジャック』の各言語による歌詞」を参照のこと)。日本では、フランス語題をカタカナに置き換えた『フレール・ジャック』の題のほか、英語題をカタカナに置き換えた『アーユースリーピング』、また『かねがなる』『グーチョキパーでなにつくろう』などの邦題でも知られている。(Wikipedia:フレール・ジャック

このページの一番下を見ると「関連項目」に

  • 交響曲第1番 (マーラー):第3楽章で『フレール・ジャック』の短調に編曲されたフレーズを取り入れている。

と書いてありました.あぁ,納得. つまり,グーチョキパーのうたとマーラーの巨人3楽章には関連性があったことが分かりました.

おわり

グーチョキパーのうたが元々はフランス民謡で,しかもカノン形式をとるということに驚きました. それと同じぐらいぞうさんの作曲が日本クラシック作曲家の有名な人だったということに驚きました. クラシック音楽にはよく地方民謡のワンフレーズをとって,主題にすることが少なくないので,このようにクラシックと民謡・童謡の関連性って調べてみればありそうな気がします. だからぞうさんとショーソンも関連性ありそうな気がしますが,團さん亡くなっちゃったしその真実は闇の中なのでしょうか.


Mahler: 1. Sinfonie ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Paavo ... (24:50ぐらいから3楽章)


Ernest Chausson : Symphony in B-flat major, Op ... (21:20ぐらいから3楽章)